その日は陽の光を嫌悪しつつも渇望しているような、妙な気分で街を歩いていた。
俺はまるでそんな事など気にしていないような振りをしながら、一口ほど水を飲んだ。
イヤフォンからは音楽が流れている。
急に背後から風が駆け抜けた。
それは例えるなら、野球道具を持った少年たちが広場へ向かって走るかのように颯爽と駆け抜けた。
俺はイヤフォンのボリュームを少し上げることにした。
しばらく気怠げに歩いていた。
歩いていた?
俺は本当に、歩いていたのか?
来た道を振り返る。
何人かの歩行者が訝しそうに俺を一瞥して擦れ違って行った。
俺は本当に、歩いていたのか?
なぁ、答えてくれよ。
答えてくれよ!!!
答えてくれよ…。
俺は落胆しながら雑踏の中に消えた。