以下はムンク展の感想メモです。
まず今回の展覧会は、ムンクが一貫して描き続けたテーマである「愛」や「死」や「不安感」というような<人間の魂の叫び>を象徴とする作品はもちろんながら、装飾画家としての彼の業績にも注目するというのが国立西洋美術館側のスタンスのようであった。
そういうわけなので、各章・各フロアごとに作風が微妙に違っていて、ムンクに対してわずかな先入観を持って入場した私は所々で意表を突かれたわけだが、正直なところ、今回の展覧会でムンクという画家に対する見方が多少変わった。
当初は、自己の度重なる不運な経験をもとに、前述の「愛」「死」「不安感」などの人間が持っている本能的な欲情、死への恐怖や生への不安などを、絵画を通して表現し現前化させようとしていたというイメージしか持ち合わせていなかった。だが、意外にも彼は個人に絵画の製作を依頼されたり、チョコレート工場の装飾にも携わるなどしていて、そうした作品の中には明るい色彩を使った作品も数多く残されていたのである。『叫び』だけがムンクでないことを思い知らされた。
なお、そのムンクの代名詞ともいえる『叫び』は、残念ながら今回の展覧会には来ていなかったのだが、『不安』『絶望』『声/夏の夜』『病める子供』『マドンナ』など、彼の表現しようとしたテーマを如実に表す作品は充実しているので、個人的には大いに満足できる展覧会だったと感じている。あわよくば、来月あたりにもう一度ムンクと対話する機会を設けたいんだけども、あたいにそんな時間ないかしらああああああああああああああ!!!(叫び)
すんげぇ良かった。
美しいものを観るって、とても気持ちの良いことなんだね。