ピストルという道具が発明されると、人は自分の手を汚さずに他人を殺すことが可能になった。その道具の使い方は非常に単純で、照準を合わせて指先を動かすだけで事足りる。すると、人を殺すという行為が、指先を動かすという行為と等しくなった。
しばらくして、人類は核兵器というさらに高性能の道具を発明した。この道具もまた、発射ボタンを押すだけの指先一本の操作で人を殺すことができ、そしてその威力は、ピストルを遥かに凌ぐものとなったのである。
まるで、部屋の電気のスイッチを押すかのような気軽な気持ちで、人は核兵器という道具を使ってしまうのではないかと私は危惧している。